お金の貸し借りには、時効(正確には「消滅時効」といいます)という制度があります

ずっと前に貸したお金を返してもらうことはできるか

親友が「一生の頼みだ、必ず返すから20万貸してくれ」と鬼気迫る顔をして頼んできた。そこで貸して
あげたが、その後、何年経っても「ごめん、今度会ったら必ず返すから」といって、まったく返してくれ
ない。返してもらうのをあきらめてから10年以上経ったが、最近になり、その親友が高級自動車を
買ったという噂を耳にした。クルマを買うお金があるなら、あのときのお金を返してもらいたい。あれから
もう15年も経っているけど、返してもらうことはできるだろうか。

 

●放置していた期間の長さによっては取り戻せない
お金の貸し借りには、時効(正確には「消滅時効」といいます)という制度があります。これは、借主
に対して、裁判所を使ってお金を取り戻す手続きなどをとることができるにもかかわらず、ある一定の
期間、まったくそのようなことをせず、いたずらに時間だけを経過させてしまった場合、借主の行動
次第では、それまで行使できたはずの、借主に対して貸したお金を返せという権利が行使できなく
なってしまう、という制度のことです。この「一定の期間」とは、個人が個人にお金を貸した場合は、
民法で10年間と定められています。つまり、貸主は、とくに返済期限を決めていなかった場合、お金
を貸してから10年間まったく返済がないにもかかわらず裁判所を使ってお金を取り戻す手続きなど
をせず、そのままにしておくと、借主から支払いを拒絶される可能性が生じてしまうのです。一方、
個人間のお金の貸し借りではなく、飲み屋のツケや小売店の売掛金などは、1年や2年という非常
に短い期間で消滅時効が成立します。また、借主が事業者で、その事業のためにお金を借りた
場合や、貸主が会社の場合などは、5年で消滅時効が成立することがあります。これらの債権を
持っている人は、とくに注意しましょう。消滅時効期間が経過してしまったため、借主から消滅時効
を理由に支払いを拒絶された場合は、もはや貸したお金を返せという権利自体がありませんので、
保証人にも請求できません。また、担保権も債権と同時に消滅してしまっているため、裁判所に
強制的に売却してもらうこともできません。

 

 

●消滅時効が成立していてもあきらめない
個人間のお金の貸し借りでは、お金を貸してから、まだ10年が過ぎていなければ、借主は消滅時効を
主張できません。借主に返すだけの力があるようなら、取り戻すことができる可能性は高いでしょう。
まだ10年は経っていないけど、あと少しで消滅時効の期間が経過してしまうというときは、次の項で
説明する3つの手続きのどれかひとつを早急にとって、消滅時効の進行を止める(「消滅時効を中断
する」といったりします)ことをおすすめします。では、お金を貸してから、すでに10年が経過してしまって
いる場合はどうなるのでしょうか。もはや取り戻すことは不可能なのでしょうか。この場合、借主から消滅
時効を主張され、支払いを拒絶される可能性は否定できません。しかし、消滅時効の効力は、借主
が主張して、はじめて生じます。ですから、借主から消滅時効を主張される前に、消滅時効の進行を
止めるための3つの手続きのどれかによって消滅時効の進行を止めることができれば、借主はこれ以後、
また10年間、消滅時効の主張をすることができなくなります。そうすれば、借主にお金を返すだけの力
があるようなら、お金を貸してから10年を経過している場合であっても、取り戻すことができる可能性は
高いと思われます。