返済期限を過ぎても借りたお金を返さずにいると

借りたお金を返さずにいて貸主から訴えられたら

友人から、3か月後に全額返済する約束で50万円を借りたが、どうしてもお金を工面することができず、
催促されるたびに「あと少し待ってくれ」といって、半年も待たせてしまった。すると、その友人が裁判所
に訴えを起こしたらしく、裁判所から私のところに訴状が送られてきた。このあと、私はどうしたらいいの
だろうか?

 

●まずはどのような訴えが起こされたのかを確認する
返済期限を過ぎても借りたお金を返さずにいると、貸主から訴えを起こされるかもしれません。訴えを
起こされたら、借主はどんな行動をとったらいいのでしょうか。まず最初に、どのような手続きが貸主から
申し立てられたのかを知る必要があります。考えられる手続きとしては、訴訟のほかに、少額訴訟、
支払督促、民事調停、即決和解の全部で5つがあげられます。裁判所から送られてきた文書の
タイトルを見れば、どの手続きが申し立てられたのかは判別できるでしょう。申し立てられた手続き
がわかったら、それぞれの手続きに応じた対応をとります。

 

@訴訟の場合
まず、送られてきた文書すべてに一通り目を通し、訴状に書いてある内容と自分が思っている事実と
に違いがないか確認しましょう。書いてある内容と自分が思っている事実とに食い違いを見つけた
場合は「答弁書」にそのことを書きます。このとき、それを裏付ける証拠書類などがあるようでしたら、
その写しも2部(裁判所用と貸主用)、答弁書と一緒に裁判所に提出します。とくに事実と食い
違いがなくても、自分の主張などを答弁書に書いて裁判所に提出することが大事です。答弁書は、
訴状や裁判所に出頭する日が書かれた書面(呼出状といいます)といっしょの封筒に入っていること
が多いのですが、入っていなかった場合は、簡易裁判所に行くともらえます。そのあとは指定された日
に裁判所に行き、そこで和解(裁判所で行なう貸主借主両者の話し合い)や判決(裁判官による判断)
などによる解決をはかっていくことになります。

 

A民事調停の場合
送られてきた文書すべてに一通り目を通し、調停申立書に書いてある内容と自分が思っている事実と
に違いがないか確認するのは訴訟と同様です。裁判所に出頭するよう指定された日までに、自分が
思っている事実と食い違っていることや、自分が相手にいいたいことを紙(答弁書のような形式ばった
ものでなくてもいいです)に記載して、証拠があるようならそれも用意して、指定された日に裁判所に
行き、貸主と調停委員をまじえて話し合うことになります。訴訟よりも手続きが簡単です。

 

B支払督促の場合
送られてきた文書すべてに一通り目を通し、支払督促申立書に書いてある内容と自分が思っている
事実とに違いがないか確認するのは訴訟と同様です。そして、申し立てられた内容に対して、納得の
いかないところがあったり、なにかいいたいことがある場合は、同封されている「督促異議申立書」に
住所氏名などを書いて、定められた期間内に裁判所に提出します。忘れずに期間内に掟出すること
が大事です。支払督促は、証拠も出さずに、裁判所と書類をやり取りするだけで自分の言い分が
認めてもらえるという、貸主としてはすごく便利で簡単な手続きです。それでは借主にとって不利なので、
「督促異議申立書」さえ裁判所に提出すれば、以後は通常の訴訟として取り扱われることになって
います。訴訟に移行したのちは、定められた日までに答弁書を提出して、訴訟の手続きに従って解決
をはかっていくことになります。

 

C少額訴訟の場合
送られてきた文書すべてに一通り目を通し、書いてある内容と自分が思っている事実とに違いがないか
を確認し、内容に不服があったり分割払いの申し入れをしたいといったときには答弁書や証拠書類を
提出するのは、訴訟と同様です。しかし少額訴訟の手続きは、原則として1回の口頭弁論(貸主と
借主の双方がおたがいに裁判所で自分のいいたいことを裁判官に伝える日)で終了してしまう手続きで
す。ですから、その日までに、自分に有利となる証拠のすべてを提出する必要があります。また、貸主の
一方的な都合で、原則として1回の口頭弁論で終わってしまうこの手続きを進めるのは不公平です
から、訴えられた借主にも、少額訴訟の手続きで解決をはかってもよいかどうかについて、裁判所に
意見をいうことができます。そして、借主が「小額訴訟では解決したくない」という反対の意思表示
(「異議」といったりします)をした場合は、その後の手続きは通常の訴訟に移ることになります。
答弁書や証拠を集めているときに、1回しかない口頭弁論の日までに証拠書類や証人などを裁判所
に出すことができないと判断したら、裁判所に対し異議を述べ、通常の訴訟による解決をはかったほう
がよいでしょう。

 

D即決和解
即決和解とは、問題の解決に向けての話し合いがある程度まとまっているときに、貸主と借主の双方
が裁判所に出頭し、その話し合いの内容を基本に裁判所で和解をする手続きです。したがって、
裁判所から和解の申立書が届く前に、あらかじめ貸主とのあいだで返済総額や返済方法などを取り
決めているはずです。裁判所から和解の申立書が届いたら、そこに記載されている内容と、以前に
貸主と取り決めをした内容が同じかどうかを確認しましょう。同じであれば、裁判所が指定した日に
裁判所に行き、和解を成立させればよいでしょう。また、以前に貸主と取り決めをした内容と異なっ
ていたり、記載のされ方があいまいであった場合は、裁判所が指定した日に裁判所に行き、そこで
貸主に確認を取り、納得できれば和解を成立させればよいですし、納得がいかなければ和解に合意
せずに手続きを終了させればよいと思われます。

 

●貸主からの訴えを無視するとどうなるか
ところで、訴状や支払督促などを受け取っても答弁書や督促異議申立書を出さず、指定された日に
裁判所にも行かないと、どうなるのでしょうか。もし借主がこのような態度を取ると、貸主が裁判所に
対して主張したことが全部正しいと認められてしまいます。貸主の主張が全部認められると、その
支払いは一括でしなければなりません。そのために、大切な財産(クルマや貴金属、不動産など)も
強制的に売却されるかもしれません。ですから、貸主が訴状などで主張している内容に不服がある
場合はもちろんのこと、まったくそのとおりであったとしても、必ず答弁書などを出し、裁判所に行く
べきです。そうすれば、仮に貸主の主張がまったくそのとおりであったとしても、借主の置かれている
経済的な状況などを考慮して、貸主が請求金額をいくらか減額してくれたり、分割払いを認めて
くれたりするかもしれません。また、ほかにもたくさんの借金があり、貸主から訴えられても、とても請求
金額を支払っていくことができないと思われるときは、すべての借金を整理する方法も検討すべきです。